【規制動向】EU、重要原材料の回収対象となる製品・廃棄物を指定 ― CRMAの循環資源回収ルールを具体化
CRMAは重要原材料の供給安全保障だけでなく、域内での資源効率・循環性を高める仕組みも含んでいる。2026年5月に採択された今回の実施規則は、その循環性に関する具体的なルールとして、回収ポテンシャルを持つ製品・部品・廃棄物ストリームのリストを設定するものであり、CRMAが資源循環の実務へ移行していることを示すマイルストーンである。重要原材料について、採掘・輸入だけでなく使用済み製品や廃棄物からの回収もEUの資源政策の一部として制度化されつつあり、企業にとっては製品設計・回収・リサイクルの各段階で重要原材料の回収可能性を考慮する重要性が高まっている。「CRMAが始動した」という2024年時点の紹介ではなく、成立した制度が2026年に実施ルールへ展開しているという時間軸で捉えるのが実態に即している。
関連する規制情報
EU 欧州重要原材料法(CRMA)
欧州重要原材料法(CRMA:Regulation (EU) 2024/1252)は、EU域内におけるグリーン移行、デジタル移行、宇宙・防衛産業に不可欠な「重要原材料」の安定的かつ持続可能な供給体制を確立するための包括的な資源安全保障フレームワーク規制です。 地政学的リスク(特定の非加盟国、特に中国への過度な依存)を低減し、EU域内での自給率向上と調達の多様化を法的に義務付けており、「EUの資源戦略・供給網の中核ハブ」として機能します。 規制フレームワーク:制度構造(主要5要件) 1. Critical Raw Materials Framework (CRMフレームワーク) - 経済的重要性と供給リスクに基づく重要原材料(CRMs:34物質)および戦略原材料(SRMs:17物質:リチウム、コバルト、ニッケル、希土類元素等)の定義・分類、および地政学情勢に応じたリストの定期更新メカニズム。 2. Supply Chain Security Policy (サプライチェーンセキュリティ政策) - 対外供給依存度の低減と特定国への過度な集中リスクに対する監視、大企業の主要原材料の調達監査・脆弱性評価の義務付け。 3. EU Domestic Capacity Targets (EU域内供給能力の強化) - 戦略原材料(SRMs)に対する、EU消費量に占める域内調達率(採掘、加工、リサイクル)の比率向上ロードマップの設定。 4. Strategic Projects Framework (戦略プロジェクト認定制度) - EU内または第三国での重要原材料供給に寄与する事業を「戦略プロジェクト」として認定し、環境許認可期間の迅速化や資金調達を支援するスキーム。 5. Circularity & Recycling Framework (資源循環と二次原材料活用) - 使用済み製品・スクラップからの原材料回収(リサイクル材供給能力)の強化、廃車や電子ゴミ等から重要原材料を取り出して再利用する循環型資源構造の制度設計。 関連規制リンク(Linked Regulation) Battery Regulation: リチウム、コバルト、ニッケルなどの車載バッテリー供給網リスクDDおよびカーボンフットプリント要件との連動。 REACH規則: 原材料の製錬・精製プロセスにおける化学物質リスク規制との整合。 ESPR: 製品設計の初期段階でのリサイクル材の利用義務・解体設計基準との連携。 ELV規則: 自動車の解体・回収段階におけるレアアース等の重要原材料・モーター用磁石の回収義務との接続。
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