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EU発表日: 2026/6/15

【規制動向】ESPRが変える素材産業の競争ルール:EUグリーンスチール定義を巡る議論が示す「環境性能の可視化」時代

配信ソース:Recycling Europe / EEB / FEAD Joint Statement
ESPRに基づくGreen Steel定義の議論が進展: 欧州リサイクル業界団体Recycling Europeは、欧州環境局(EEB)および欧州廃棄物管理協会(FEAD)とともに、ESPR(持続可能な製品のためのエコデザイン規則)におけるGreen Steel定義について共同声明を発表しました。欧州委員会JRC(共同研究センター)が策定した技術中立的・cradle-to-gate型の方法論を支持しつつ、現行の委任法案における排出閾値はより野心的な水準に引き上げるべきと主張しています。 素材の環境性能が市場評価軸に: 今回の議論が示す産業構造上の意味は、ESPRの影響範囲が製品設計・製品情報から、製品を構成する素材そのものの環境性能データ要求へと拡大している点にあります。鉄鋼産業の競争軸は、品質・コスト・生産能力だけでなく、CO₂排出量・再生材利用率・循環性・トレーサビリティといった環境性能指標へ移行しつつあります。 循環性評価がグリーンスチールの鍵に: 共同声明では、リサイクル鋼スクラップの脱炭素ポテンシャルを適切に評価すべきと強調されています。EUの方向性は、鉄鉱石投入型モデルからスクラップ循環・再生材活用モデルへの転換であり、Circular Economy Actとも連動する動きです。
Editor's View

ESPRは当初「製品設計」に焦点を当てた規則ですが、Green Steel定義の議論は、その影響範囲が素材産業にまで確実に拡大していることを示しています。 【産業構造変化の流れ】 ESPR(持続可能な製品のためのエコデザイン規則) ↓ 製品環境情報要求の拡大(DPP等) ↓ 製品を構成する素材にも環境性能データ要求 ↓ 鉄鋼産業の競争軸変化:品質・コスト → 環境性能・循環性・トレーサビリティ ↓ グリーンスチール市場の形成 【重要なポイント】 ・Green Steel Labelが「正式導入された」わけではない。ESPRの委任法案における定義・方法論を巡る議論段階 ・Recycling Europe等は、JRC方法論を支持しつつ排出閾値の引き上げを求めている ・スライディングスケール方式(相対評価)には反対し、固定閾値方式(絶対評価)を主張 ・リサイクル鋼スクラップの循環性ポテンシャルを正当に評価すべきとの立場 【産業への波及】 ・鉄鋼メーカー:低炭素製鉄技術と再生材管理が競争力に直結 ・自動車メーカー:車両の環境評価において鋼材・アルミなど素材の環境性能も評価対象に ・製造業全般:「安い材料」ではなく「環境情報が証明できる材料」の調達が求められる時代へ EUでは、素材そのものの環境性能が企業競争力を左右する時代に移行しています。この動きはCBAM(素材の炭素コスト)、Circular Economy Act(循環性要件)、DPP(デジタル製品パスポートによるトレーサビリティ)と連動しており、欧州市場で事業展開する製造業にとって調達戦略の根本的な見直しを迫るものです。

※ 本ニュースは外部ソース(Recycling Europe / EEB / FEAD Joint Statement)の公式公開情報に基づき、実務向けに分析・整理されたものです。

関連する規制情報

EU 持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)

EUの持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR:Ecodesign for Sustainable Products Regulation)は、EU市場で流通するほぼすべての物理的製品(食品、飼料、医薬品等を除く)を対象に、環境適合設計を義務付ける包括フレームワーク規則です。従来のエコデザイン指令を抜本的に強化・拡張したものであり、製品設計の企画段階から持続可能性要件の組み込みを強制する、EU市場における製品設計の統合分野として位置付けられます。 制度は主に4つの要件で構成されています。製品の耐久性・修理可能性・再利用性・リサイクル性・環境フットプリント・エネルギー効率・有害化学物質の含有制限(REACH規則との連携)などを個別の製品別に規定するエコデザイン要件、サプライチェーンの透明性確保のため製品にQRコード等のデータキャリアを付し材料構成や修理・リサイクル容易性、カーボンフットプリント等をデジタルデータとして提供・追跡するデジタル製品パスポート(DPP)、優先製品カテゴリ(繊維、鉄鋼、アルミニウム、家具、タイヤ等)ごとに順次制定される製品別委任法を通じた段階的な義務化、そして市場監視による非適合製品のEU市場からの排除、および委任法が定める場合のラベル表示等による適合制御です。

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