ニュース一覧に戻る
米国 (US)発表日: 2026/9/15

【規制動向】米下院、Californiaの船舶停泊時排出規制の無効化決議を可決 ― 港湾・海運で再び問われる「連邦・州」の規制権限

配信ソース:U.S. House Clerk (H.J. Res. 210 / Vote 306) & GovInfo / CARB Ocean-Going Vessels At-Berth Regulation
2026年9月15日、米国下院はCalifornia州のOcean-Going Vessels At-Berth Regulation(外航船舶停泊時排出規制)に対するEPAの承認を無効化する決議 H.J. Res. 210 を216対211で可決しました。対象となるのはCalifornia州の港湾・ターミナルに停泊する外航船舶の補助エンジン等からの排出削減を義務付ける規制であり、CARB(カリフォルニア州大気資源局)は停泊中の排出制御技術(CAECS)の利用等を求めています。 EPAは2023年10月にClean Air Actに基づく承認を行っていましたが、今回の決議はCongressional Review Act(CRA)に基づきその承認を無効化しようとするものです。なお9月16日には商業用港湾船舶(Commercial Harbor Craft)規制へのEPA承認無効化決議(H.J. Res. 213)も下院を通過しています。 今回の動きは下院可決段階であり規制自体の即時撤廃を意味するものではありませんが、すでに施行・運用されている州の排出管理枠組みに対し、連邦と州の規制権限の対立が海運会社、港湾・ターミナル事業者の設備投資やサプライチェーンのコスト構造に不確実性をもたらす可能性を示しています。
Editor's View

California独自の環境規制とEPAの連邦承認、それに対する議会によるCRA無効化決議という構図は、米国における連邦・州間の規制権限の緊張関係を鮮明に示しています。港湾・海運インフラにおいては、船舶側と陸上ターミナル側の双方で巨額の排出削減設備投資や運用体制の整備が進んでいるため、規制フレームワークの司法・議会を巡る不確実性は、西海岸港湾を利用するグローバルサプライチェーン全体のコンプライアンス戦略に直結します。

※ 本ニュースは外部ソース(U.S. House Clerk (H.J. Res. 210 / Vote 306) & GovInfo / CARB Ocean-Going Vessels At-Berth Regulation)の公式公開情報に基づき、実務向けに分析・整理されたものです。

関連する規制情報

米国 カリフォルニア州法・州レベル規制分野

カリフォルニア州は、環境およびサプライチェーン規制において全米で最も厳格な水準にあり、EUのような包括的な指令・規則型ではなく、特定の政策目標ごとに個別州法が並立する「政策クラスター型」の規制体系を採用しています。気候情報開示(SB253・SB261)、有害物質警告表示(プロポジション65)、PFAS・化学物質個別制限、包装・循環経済(SB54)、マイクロプラスチック対策の5つの主要クラスターから構成されています。 プロポジション65は1986年の住民投票により制定され、発がん性・生殖毒性物質を含む製品への警告表示を義務付ける、米国で最も長い歴史を持つ州レベル化学物質規制です。気候開示クラスターでは、2023年にサプライチェーン全体のScope1〜3排出量開示を義務付けるSB253と、気候関連財務リスク開示を義務付けるSB261が成立しました。両法は訴訟の影響を受けており、SB253については2026年8月10日を最初の報告期限として州当局が実施を継続する方針を明確にしている一方、SB261の執行は第9巡回区控訴裁判所での審理を理由に一時停止されています。包装・循環経済クラスターでは、拡大生産者責任(EPR)とプラスチック包装削減を義務付けるSB54が2022年に成立しています。これらカリフォルニア州の環境規制群を一体的に理解するための上位レベル(Level1)のRegulatory Systemとして位置付けられています。

この規制の詳しい解説(年表・対日影響)を見る

💡 この記事に関連する規制の概要・スケジュールは「規制体系ゲートウェイ(データベース)」でもご確認いただけます。

スポンサーリンク / ADVERTISEMENT