米国 AIM Act下のHFCフェーズダウン制度:技術移行規則の緩和とアロケーション制度自体は維持
規制の概要
米国イノベーション・製造業法(AIM Act、2020年制定)は、EPAに対しハイドロフルオロカーボン(HFC)の生産・消費を2036年までに歴史的基準の15%まで段階的に削減する権限を与えている。制度は3本柱で構成される:(1)アロケーション(割当)プログラムを通じたHFC生産・消費の段階的削減、(2)業種別の次世代技術への移行促進、(3)機器からのHFC回収最大化・漏出最小化のための規則制定。
トランプ政権下でも、HFCの生産・輸入を管理するアロケーション制度自体(HFC Allocation Program)には変更が加えられておらず、EPAは引き続きこの制度の執行を優先事項の一つとして運用している。2025年11月20日には2026年暦年分のアロケーション割当も通常どおり発表されている。
一方、緩和が加えられたのは「技術移行(Technology Transitions)」規則である。2026年5月21日、EPAはバイデン政権期に設定された技術移行の順守期限を、住宅用空調・小売食品冷蔵・低温倉庫・半導体製造等の特定業種について延長する最終規則を発出した。EPAはこれを「負担が大きく非現実的な順守期限」の是正と位置付けており、設備導入にかかる資本・運用コストの引き下げを狙いとしている。ただし、これは2032年以降の最終的な要件自体を変更するものではなく、あくまで移行期間中の順守スケジュールの調整である。
また、道路・複合輸送用冷凍コンテナ(TRU)についてはHFC漏出修理要件の適用除外を提案する規則も進行中であり、業種別の細かな規制緩和が段階的に進められている状況にある。
施行スケジュール・年表
2020年12月:米国議会がAIM Act(イノベーション・製造業法)を制定
2023年10月:EPAがTechnology Transitions最終規則(特定業種のHFC制限期限設定)を公布
2025年11月20日:EPAが2026年暦年向けHFC生産・消費アロケーション割当数を決定・発表(制度継続)
2026年5月21日:EPAが住宅空調・小売食品・半導体等特定業種の技術移行順守期限を延長する最終規則を公表
2026年8月現在:アロケーション基準(2036年までに85%削減)は維持されつつ、製品・装置別の移行スケジュール緩和が順次適用中
企業への影響・実務対応
米国向けに空調機器、店舗用冷凍・冷蔵ショーケース、半導体用冷媒ガス等を製造・販売するメーカーは、代替冷媒(A2L系冷媒、CO2、HFO等)への全面移行期限について一定の猶予期間(スケジュール緩和)を得た。ただし、AIM Actのアロケーション枠制限(HFC総供給量の段階削減)自体は変わらないため、中長期的な脱HFC・低GWP冷媒化への技術開発・製品開発ロードマップは継続する必要がある。
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