米国 NSR恒久許可プログラムの規制緩和動向(着工定義の見直し・少量発生源の公聴会簡素化)
規制の概要
大気浄化法(CAA)の新規発生源審査(NSR)プログラムは、新規施設の建設や既存施設の重要な改修に際し、事前に大気汚染防止装置の設置を義務付ける許可制度である。トランプ政権下では、この制度の運用を緩和する複数の措置が進行中である。
2026年5月11日、EPAは「実際の建設着手(begin actual construction)」の定義を改定する規則案を公表した。従来の規則では、NSR許可を取得するまでは対象施設での建設行為に着手できないとされていたが、新たな定義では「汚染物質排出活動(pollutant-emitting activities)」に該当しない構成要素(大気汚染物質を排出しない設備等)については、許可取得前でも設置作業を進められるようにする。事業者にとっては着工可能な範囲が広がる内容であり、パブリックコメントの締切は2026年6月29日であった。
さらに2026年7月1日には、少量発生源(マイナーソース)向けのNSRプログラムにおける公聴会等の公衆参加要件について、州・地方の大気汚染防止当局の裁量を拡大する規則案も公表された。従来一律に求められていた公衆参加の水準を、各当局が案件ごとに判断できるようにする内容である。
なお、2026年7月18日には、D.C.巡回区控訴裁判所がEPAの2020年「Project Emissions Accounting Rule」(改修計画の排出量算定手法に関する規則)を支持する判決を下しており、この分野の一部規則は司法審査を経て存続が確定している。
施行スケジュール・年表
2020年11月:EPAがProject Emissions Accounting Final Ruleを公布
2026年5月11日:EPAが「実際の建設着手」定義改定規則案を公表(許可取得前着工可能範囲の拡大)
2026年6月29日:着工定義改定規則案のパブリックコメント締め切り
2026年7月1日:少量発生源NSRにおける公衆参加要件(公聴会等)の地方裁量拡大規則案を公表
2026年7月18日:D.C.巡回区控訴裁判所が2020年Project Emissions Accounting Ruleを支持する判決を下す
企業への影響・実務対応
米国で新工場の建設や増改築を計画するメーカー・データセンター開発事業者等は、NSR許可発給前であっても非排出設備の先行施工が可能となり、建設スケジュールの短縮が見込める。ただし、最終規則化の動向や各州大気当局の運用方針には差があるため、地域ごとの個別確認が必要である。
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