【規制動向】EU電池規則、2027年のバッテリーパスポート義務化に向け実装を具体化 ― 電池データ管理が次の焦点に
EU電池規則はすでに2024年から適用されている。したがって2026年時点で注目すべきは「規則が始まったこと」ではなく、将来の具体的義務が実装段階に入っていることである。特にBattery Passportは電池のライフサイクル情報をデジタルで管理する仕組みとして、2027年2月18日からEV電池・LMT電池・2kWh超の産業用電池に義務化される(ポータブル電池・始動用電池は対象外)。電池メーカーだけでなく、材料・部品・リサイクル企業まで含めて電池のライフサイクル情報を収集・管理する必要性が高まっており、企業はBattery Passportを単なる規制報告ツールではなく、材料調達から製造、使用、修理、再利用、リサイクルまでの情報を接続するデータ基盤として準備する必要がある。「EU Battery Regulationが始動」という2023〜2024年型の紹介から、基本規則→委任・実施法→実装基盤→具体的義務というフェーズへ、記事の焦点を移すべき段階にある。
関連する規制情報
EU 電池規則(Battery Regulation)
本規制(Regulation (EU) 2023/1542)は、EU市場で流通するすべてのバッテリー(携帯型、EV用、産業用等)を対象に、原材料調達から設計、製造、リサイクル、再利用に至る製品ライフサイクル全体を一貫して統制する包括規則です。 電池の製造・設計要件、サプライチェーン管理、環境負荷、およびリサイクル義務などを一本化する「制度ハブ」として機能します。 規制フレームワーク:制度構造(主要5要件) 1. Battery Passport (電池パスポート) - 容量2kWh以上の産業用・EV用バッテリーに対し、製造データ、材料構成、リサイクル材料比率、カーボンフットプリントなどをQRコード経由で追跡可能にするトレーサビリティ制度(ESPRのデジタル製品パスポートと接続)。 2. Carbon Footprint Requirements (カーボンフットプリント規則) - EV・産業用バッテリーに対する、ライフサイクル全体のCO₂排出量(製造段階の温室効果ガス排出量等)の算定・自己宣言、および段階的な上限値規制の適用。 3. Due Diligence Requirements (デューデリジェンス義務) - バッテリーの製造・輸入業者に対し、主要原材料(リチウム、コバルト、ニッケル、天然黒鉛等)のサプライチェーンにおける人権侵害や環境破壊リスクを特定・管理・開示することを義務付ける制度(CRMA等と強く接続)。 4. Collection & Recycling Targets (回収・リサイクル目標) - 携帯型電池および車載用バッテリーの段階的な回収率目標値の引き上げ、リサイクルプロセスにおける特定材料(リチウム、ニッケル、コバルト等)の回収効率向上義務。 5. Safety & Performance Requirements (安全性・性能・耐久性基準) - 携帯型および定置型蓄電池の安全性特性、充電効率、耐久性能等に関する適合基準の設定とCEマーク貼付要件。 関連規制リンク(Linked Regulation) ESPR: DPP(デジタル製品パスポート)の主要先行実装先、および循環経済設計思想の接続。 REACH規則: 電解質、正極材等の重金属・有害物質(水銀、カドミウム、鉛等)および将来的なPFAS使用制限との連動。 CRMA (欧州重要原材料法): リチウム、コバルト、ニッケル等の重要原材料調達のサプライチェーン人権環境リスクDDの連携。 ELV規則: EV用バッテリーの解体、回収率要件および使用済み自動車リサイクルとのモビリティ連動。
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