EU ETS 産業部門無償割当(Free Allocation)ベンチマークおよびCBAM連動完全段階廃止
規制発動・施行時期 / ENFORCEMENT TIMELINE
2024年改訂運用開始(2026年〜2034年にかけてCBAM連動フェーズアウト)
規制の概要
本カードは、EU域内排出量取引制度(EU ETS)における産業部門への「無償割当(Free Allocation)」の配分基準(製品別炭素効率ベンチマーク: Product Benchmarks)および国境炭素調整措置(CBAM)の導入に伴う無償割当の段階的完全廃止(Phase-out)スケジュールに特化した解説エントリーです。
従来、カーボンリーケージ(域外への製造拠点流出)を防ぐため、炭素漏洩リスクの高い産業セクターには製品の上位10%最効率施設の排出強度を基準とする「ベンチマーク」に基づき、EUAが全額または一部無償で割り当てられていました。しかし、CBAMが輸入製品に炭素コストを課すイコールフィッティング制度として稼働することに伴い、CBAM対象6セクター(鉄鋼・アルミ・セメント等)に対する無償割当は、2026年から2034年にかけて毎年段階的に縮小され、最終的にゼロ(完全オークション化)へと移行します。
施行スケジュール・年表
企業への影響・実務対応
EU域内でセメント、鉄鋼、アルミニウム、肥料、水素などのCBAM対象品目を製造する事業者は、それらの品目への無償割当が毎年削減されていくため、2026年以降、自社の排出枠調達コストが急激に増大する経営リスクに対応しなければなりません。指令(EU) 2023/959による改正で、エネルギー監査の勧告を実施していない設備は無償割当が20%削減され、製品ベンチマークごとに排出量が80パーセンタイルを超える設備(上位20%)も、気候中立計画(Climate Neutrality Plan)を策定していない場合は同じく20%削減されます。
また、ベンチマーク更新(年0.3%〜2.5%の効率改善率適用)により、低炭素技術の導入が遅れた標準以下のプラントに対する無償割当数はさらに削減されます。EU域内メーカーは、CBAMによる域外製品との公平な競争環境を活用しつつ、無償割当の段階的消失を見越したグリーン転換(グリーンスチール・グリーン化学への投資)を急ピッチで進めることが求められます。
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