米国 EJScreen廃止後の環境正義スクリーニング実務/訴訟の経緯
規制の概要
2025年2月5日、EPAは環境正義マッピング・スクリーニングツール「EJScreen」本体および関連ページをウェブサイトから削除した。同時期にCEQも気候・経済正義スクリーニングツール「CEJST」を削除しており、1994年の大統領令12898(環境正義を連邦政策として初めて義務化した大統領令)自体も大統領令14173により撤回されている。
トランプ政権は、EPA内の環境正義・対外市民権局(Office of Environmental Justice and External Civil Rights)を含む環境正義関連の組織・イニシアチブを終了した。これによりEPAの環境正義施策は、連邦レベルの制度としては事実上停止した状態にある。
EJScreen削除に対しては複数の公益団体が異議を申し立てていた(Sierra Club v. EPA、D.C.巡回区控訴裁判所)が、2026年3月13日に連邦判事が原告適格なしとしてこの訴訟を棄却した。ツール自体の復活を求める法的手段は現時点で行き詰まっている。
もっとも、EJScreenという連邦ツールが失われた一方で、公民権法第6編(Title VI)に基づく差別禁止義務や、複数の州が独自に制定した環境正義関連法(累積影響評価法等)は連邦とは独立に存続している。企業実務としては、連邦ツールに代わり州法・独立系データセット(民間団体によるEJScreenの複製版等)を用いた自主的スクリーニングが実務上の代替手段となっている。
施行スケジュール・年表
1994年2月11日:バイデン政権・オバマ政権の前提となる大統領令12898号制定
2025年1月20日:大統領令14173号発効、大統領令12898号およびEJ関連イニシアチブを撤回
2025年2月5日:EPAがウェブサイトからEJScreenツールおよび関連公開ページを削除
2025年2月:CEQがCEJSTツールを削除、EPAが環境正義・対外市民権局を閉鎖
2026年3月13日:連邦地裁がSierra Club v. EPA訴訟(EJScreen削除取消請求)を原告適格なしとして棄却
2026年8月現在:連邦ツール失効後も、公民権法Title VIおよび州独自EJ法に基づく自主的スクリーニングが実務上継続
企業への影響・実務対応
米国内で新規プラント建設、許認可申請、事業拡張を行う企業は、連邦公式のEJScreenを利用できなくなった。連邦レベルでのEJ審査圧力は途絶えたものの、カリフォルニア州やニューヨーク州、ニュージャージー州など独自環境正義法を持つ自治体では厳しい環境審査が継続しており、民間団体によるEJScreenレプリカや州独自ツールを活用したデューデリジェンスが不可欠である。
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