米国 Energy Star制度のDOE移管:2026年3月合意の内容と実務上の意味
規制の概要
Energy Star制度は1992年、大気浄化法に基づきEPA内に設置された大気保護局(Office of Atmospheric Protection)の一部門として発足し、以来30年以上EPAが所管してきた家電・建物等の省エネ性能認証制度である。
トランプ政権は2025年度予算教書で大気保護局の予算廃止を提案し、Energy Star制度の存続自体が業界内で懸念される事態となった。これに対し議会は2026年1月、Energy Starに前年度比100万ドル増となる3,300万ドルの予算を計上し、さらに「政権が予算を全額執行すること」を義務付ける異例の規定を追加した。
しかし2026年3月3日、EPAとDOE(エネルギー省)は、Energy Star制度の所管をDOEに移管する10年間の覚書(MOA)に署名した。この覚書により、DOEが制度の主導機関となり、既存の提携契約・商標・IT システム・データベースは90日間の移行期間を経てDOEに引き継がれる。移行の詳細は「2026年Energy Star制度移行計画」として別途策定される。
業界団体はこの移管を概ね前向きに受け止めている。全米家庭用電化製品製造業者協会(AHAM)は、DOEが既に連邦家電基準プログラム(Energy Starの技術的基準の土台となっている制度)を運営していることから、「製品知見が最も深い機関との統合」と評価する声明を出した。一方、米国グリーンビルディング協議会(USGBC)は、移管の規模の大きさに鑑み、より高い透明性と議会・公衆への説明を求める声明を出している。
なお、EPAは今回の移管について取材にコメントを避け、「DOEに問い合わせてほしい」とだけ回答しており、移管の経緯・詳細な意思決定過程については引き続き不透明な部分が残る。移管後の制度運用実務(認証審査、ラベル表示基準の更新頻度等)がEPA時代とどう変わるかは、2026年8月時点でも明確になっていない。
施行スケジュール・年表
1992年:大気浄化法に基づきEPA大気保護局内にEnergy Star制度が創設
2025年:トランプ政権が2025年度予算教書でEPA大気保護局の予算廃止を提案
2026年1月:米国議会がEnergy Star向け予算(3,300万ドル)と執行義務規定を可決
2026年3月3日:EPAとDOEがEnergy Star制度の所管をDOEへ移管する10年間の覚書(MOA)に署名
2026年6月:90日間の移行期間を経て、認証・DB等の運営主体がDOEに完全移管
企業への影響・実務対応
Energy Starパートナー企業(家電・OA機器・建材メーカー等)は、1992年発足以来EPAが管轄してきた認証体制・商標・データベースがDOEへと移管されたことにより、今後のラベル基準改定や認証申請プロセスの運用変更についてDOEからの新ガイダンスに留意する必要がある。
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