米国 市場・金融・行動変容分野
規制発動・施行時期 / ENFORCEMENT TIMELINE
2026年より段階的適用
規制の概要
米国の市場・金融・行動変容分野は、上場企業に気候関連リスクの開示を求めるSEC気候関連開示規則、企業の環境訴求表示の妥当性を規律するFTCグリーンガイド、そして政府調達において低炭素建設資材の使用を促す連邦Buy Clean政策を組み合わせた、直接的な使用禁止ではなく情報開示や市場価値を通じたソフトガバナンスにより企業行動の脱炭素化・環境配慮を促す分野です。
SEC気候関連開示規則は2022年に提案され、2024年3月に3対2の賛成多数で採択されましたが、採択直後から訴訟が相次ぎ、同年4月に第8巡回区控訴裁判所での統合訴訟終結までルールの効力が停止されました。2025年3月、SECはルールの防御を取りやめる決定を行い、2026年5月には正式な撤回(rescission)提案を公表、同年6月に連邦官報に掲載されています(意見募集期限2026年8月3日)。このため同規則は一度も発効・適用されたことがありません。一方、FTCグリーンガイドは1992年に初めて策定され、2012年の改訂を最後に、環境訴求表示のガイドラインとして現在も運用されています。連邦Buy Clean政策は2021年の大統領令を契機に2022年から本格導入されました。これら米国の市場メカニズムを通じた環境行動誘導策を一体的に理解するための上位レベル(Level1)のRegulatory Systemとして位置付けられています。
施行スケジュール・年表
1992年:FTCグリーンガイド初版策定
2012年:FTCグリーンガイド改訂(最新版)
2021年12月:連邦Buy Clean関連大統領令
2022年:連邦Buy Clean政策本格導入
2022年3月:SEC気候関連開示規則案 公表
2024年3月:SEC気候関連開示規則 採択(3対2)
2024年4月:SEC、規則の効力を訴訟終結まで停止
2025年3月:SEC、規則の防御を取りやめる決定
2026年5月:SEC、規則の正式撤回(rescission)を提案
2026年8月:撤回提案の意見募集期限
関連詳細トピック
米国 連邦取引委員会(FTC)環境表示ガイドライン(グリーンガイド)
連邦取引委員会(FTC)の「グリーンガイド」改訂動向(各種環境ラベル・リサイクル表示等への規制)。
米国 連邦バイ・クリーン・イニシアティブ ― 2025年1月の大統領令撤回により制度終了
連邦購入クリーン・イニシアチブ(Buy Clean:連邦政府調達における低炭素建設資材等の調達基準)。
米国 Energy Star制度のDOE移管:2026年3月合意の内容と実務上の意味
1992年発足のEPA管轄Energy Star制度における、2026年3月EPA・DOE覚書(MOA)に基づくDOEへの所管完全移管。
米国 Energy Star最新技術基準の詳細とDOEへの移管統合運用
住宅用空調・冷凍冷蔵・照明等の最新技術基準の詳細と、DOE主導下でのEPCA連邦基準との統合運用方針。
米国 Energy Star OA機器・IT製品基準の詳細とDOE移管に伴う認証運用方針
コンピュータ・ディスプレイ・サーバー等OA機器の消費電力制限基準と連邦調達(FAR)における位置付け。
米国 Energy Star家電基準の詳細とDOE移管に伴う実務コンプライアンス
家庭用冷蔵庫・テレビ等の省エネ性能要件(v5.1/v9.1)とDOE移行過渡期の実務コンプライアンス。
米国 DOE空調機器・給湯器エネルギー効率基準 ― 規制強化プロセスの見直し(2025-2026年)
連邦省エネ基準(2025年施行の業務用空調機器等の最低エネルギー効率基準)。
米国 EPEAT電子製品環境認証:連邦調達義務化の法的根拠と2026年の制度拡張
FAR Subpart 23.7に基づく連邦調達義務の継続と、2026年「EPEAT Renew」新カテゴリー導入等の制度拡張。
米国 インフレ抑制法(IRA) クリーンエネルギー税制優遇 ― One Big Beautiful Bill Actによる前倒し縮小
インフレ抑制法(IRA)におけるクリーンエネルギー製造税額控除および低炭素投資調達規程。
米国 ドッド・フランク法 第1502条 (紛争鉱物開示規制)
ドッド・フランク法第1502条に基づく、紛争鉱物(3TG)調達サプライチェーン開示義務。
米国 清潔競争法(Clean Competition Act: CCA) / 米国版炭素国境調整措置
清潔競争法(CCA:炭素強度の基準超過に対する炭素国境調整課税メカニズム)。
米国 SEC気候関連開示規則 ― 施行停止中、2026年に全面撤廃提案
SEC(証券取引委員会)の上場企業向け気候関連情報開示規則(Scope1/2排出量・気候リスク開示義務、現在法廷闘争により一時執行停止中)。
企業への影響・実務対応
SEC気候関連開示規則は撤回手続きが進行中であり、同規則に基づく開示義務は一度も発効していません。ただし、これは気候関連開示義務そのものが消滅したことを意味せず、カリフォルニア州法(SB253・SB261)等の州レベル規制やEU CSRD、ISSB国際基準など、他の開示枠組みが引き続き適用され得るため、米国で事業を行う企業は連邦規則の動向にかかわらず対応準備を継続する必要があります。
また、消費者向けに環境訴求表示を行う企業は、FTCグリーンガイドに基づき、根拠のない「グリーン」「エコフレンドリー」等の表示を避ける必要があり、連邦政府調達に関わる建設資材メーカーは、Buy Clean政策に基づく低炭素製品証明(EPD等)への対応が求められます。
公式一次情報・関連リンク
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