米国 ドッド・フランク法 第1502条 (紛争鉱物開示規制)
規制発動・施行時期 / ENFORCEMENT TIMELINE
2010年制定・2013年5月SEC報告義務化(3TGのサプライチェーン調査の国際デファクト)
規制の概要
米国ドッド・フランク法第1502条(紛争鉱物規制)は、アフリカのコンゴ民主共和国(DRC)およびその隣接国で活動する武装勢力の資金源を断ち、人権侵害や紛争の継続を抑止するため、米国の上場企業に対し、自社製品に使用されている特定の鉱物の原産地調査および規制当局への報告を義務付ける、強力な開示規制である。2010年7月に成立した「ドッド・フランク・ウォール街改革・消費者保護法」の第1502条として規定され、米国証券取引委員会(SEC)が詳細な実施規則を策定し、2013年5月より本格的な報告開示が始まった。
製品の機能または生産に必要不可欠な4つの鉱物、通称3TG(タンタル、スズ、タングステン、金)が規制対象となる。タンタルはコンデンサ等の電子部品、スズは電子基板のハンダ、タングステンは超硬工具や各種超合金、金はコネクタや半導体のワイヤにそれぞれ不可欠な鉱物である。
対象企業は、毎年5月末までに前年分の「合理的な原産地調査(RCOI)」を実施し、3TGが対象国(コンゴ民主共和国および隣接国)を原産地としているか、あるいはリサイクル材料かを確認したうえで、SECに対して「Form SD」と呼ばれる報告書と、必要に応じて独立した監査を経た「紛争鉱物報告書(CMR)」を提出・一般開示しなければならない。
施行スケジュール・年表
関連詳細トピック
企業への影響・実務対応
本規制は「米国の上場企業」に直接適用される法律だが、それらの企業は製品を構成する何万点もの部材の原産地を特定するため、サプライチェーンを構成する世界各地の仕入先(非上場企業も含む)に対して「CMRT(Conflict Minerals Reporting Template)」と呼ばれる統一アンケートへの回答を毎年強制的に要求する。回答を拒否または不正確なデータを提出した場合、グローバルサプライチェーンから即座に排除される(取引停止)ため、回答は事実上の強制実務となっている。
サプライヤー各社は、自社が使用する3TGが、RMAP(責任ある鉱物保証プロセス)等の公式な監査を受けた「紛争フリー製錬所(Conformant Smelter)」から調達されたものであるかを毎年精査する必要があり、非監査製錬所が検出された場合は顧客企業から代替調達への切り替えを要求されるため、調達部門の継続的な監視が求められる。
近年は、EVバッテリーに不可欠な「コバルト」や「マイカ(雲母)」に関する人権デュー・デリジェンス要請が顧客から急増しており、従来の3TGに加え、EMRT(Extended Minerals Reporting Template)を用いた調査対応や、ESG調達データの社内一元管理システムの維持に多くのリソースが投じられている。
公式一次情報・関連リンク
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