中国 炭素・エネルギー管理分野
規制発動・施行時期 / ENFORCEMENT TIMELINE
中国階層・国家目標/全国ETS/行政指導体系
規制の概要
中国の炭素・エネルギー管理分野は、発電部門を中心に排出枠の取引を行う「全国炭素排出権取引制度(全国ETS)」を中核に、2030年排出ピークアウト・2060年カーボンニュートラルという国家目標を実現するためのエネルギー・産業政策を組み合わせた、市場メカニズムと行政目標が併存する分野です。
全国ETSは2011年からの地域パイロット事業を経て、2021年2月に法的基盤となる「炭素排出権取引管理弁法(試行)」が施行され、同年7月にオンライン取引が正式に開始されました。2020年9月、習近平国家主席は国連総会において2030年までのCO2排出ピークアウトと2060年カーボンニュートラル目標を宣言し、以降の政策の方向性を規定しています。2024年1月には、制度の法的位置付けを条例レベルに引き上げる「炭素排出権取引管理暫定条例」(国務院令第775号)が公布され、対象事業者の義務や罰則が明確化されました。これら中国の気候変動・エネルギー政策を一体的に理解するための上位レベル(Level1)のRegulatory Systemとして位置付けられています。
施行スケジュール・年表
2011年:地域パイロット炭素市場の構築開始(7地域)
2020年9月:習近平国家主席、2030年ピークアウト・2060年カーボンニュートラル目標を国連総会で宣言
2021年2月:炭素排出権取引管理弁法(試行)施行
2021年7月:全国炭素排出権取引制度(全国ETS)オンライン取引開始(発電部門対象)
2024年1月:炭素排出権取引管理暫定条例(国務院令第775号)公布
2025年〜:石油化学・化学工業・建材・鉄鋼・非鉄金属・製紙・航空等への対象業種拡大が検討・順次実施
関連詳細トピック
中国 全国炭素排出権取引市場(全国炭素市場 / 中国ETS)
全国炭素排出権取引市場(中国ETS / カバー排出量世界最大)。
中国 エネルギー消費双控から炭素排出双控への移行(エネルギー・炭素排出の「双控」システム)
中国の「双控(ダブルコントロール)」制度は、エネルギー消費の総量と強度(単位GDP当たりの消費量)を同時に管理する「エネルギー消費双控」から、炭素排出の総量と強度を同時に管理する「炭素排出双控」への歴史的な移行を進めている。従来のエネルギー消費双控は、第11次五カ年計画(2006〜2010年)以降、エネルギー効率の向上に大きく貢献したが、再エネ消費も一律に規制されたため、経済成長の制約や突発的な電力供給制限(停電等)を招く要因となっていた。2021年の第14次五カ年計画期以降、中国政府は「再エネおよび原料用エネルギーを総量・強度の枠外に除外する」方針を打ち出し、炭素排出量自体の直接抑制へと舵を切った。2024年8月、国務院弁公庁は「炭素排出双控体系の構築加速に関する工作方案」を正式に発布し、国家的な移行ロードマップを確立した。この新制度により、評価軸が「エネルギー消費(手段)」から「温室効果ガス排出(結果)」へと本質的に転換される。企業にとっては、非化石エネルギー(再生可能エネルギーや原子力)の使用分が排出枠規制から実質的に除外されるため、経済発展と脱炭素の両立が可能になる。2025年までに炭素排出統計・算定システムなどのインフラを整備し、第15次五カ年計画期(2026〜2030年)には炭素排出強度管理を主としつつ総量管理を組み合わせる形で本格実施、2030年のピークアウト後は炭素排出総量管理を主とする体制へと段階的に移行する計画である。
中国 2030年前炭素達峰行動方案(2030年炭素排出ピークアウト行動計画)
2030年前炭素排出ピークアウト(達峰)行動計画ロードマップ。
企業への影響・実務対応
中国国内で発電・熱供給事業を営む企業、および石油化学・鉄鋼・セメント等のエネルギー多消費型産業に属する企業は、全国ETSに基づき排出枠の取得・清算義務を負い、対象業種の拡大に伴い、より多くの製造業が排出枠管理の対象となる見込みです。
対中投資・進出企業は、炭素排出権取引管理暫定条例に基づく報告・検証義務や罰則規定への対応に加え、2030年・2060年の国家目標を踏まえた中長期的な省エネ・再生可能エネルギー調達戦略の策定が求められます。
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