EU CBAM デフォルト排出係数適用ルールおよび一次データ第三者検証要件
規制発動・施行時期 / ENFORCEMENT TIMELINE
2023年10月1日移行適用開始(2026年より実測値の第三者検証義務化)
規制の概要
本カードは、EU炭素国境調整措置(CBAM: Regulation (EU) 2023/956)における欧州委員会公表の「標準デフォルト排出係数(Default Values)」の適用条件・制限ならびに海外サプライヤーから取得する「実測一次データ(Primary Data)」の精度基準および第三者検証(Verification)要件に特化した解説エントリーです。
CBAM制度では、輸入事業者が海外製造施設からの信頼できる実測排出量データを取得できない場合の補完措置として、欧州委員会がセクター別・国別に提示するデフォルト値の利用が一定の条件で認められています。本格適用(2026年以降)のデフォルト値は実施規則(EU) 2025/2621(2026年7月20日の実施規則(EU) 2026/1740で訂正)で定められており、輸出国ごとの平均排出強度にマークアップが加算されます(セメント・鉄鋼・アルミニウム・水素は2026年10%、2027年20%、2028年以降30%。肥料は1%)。このため、EUの基準を満たすモニタリング・報告・検証(MRV: Monitoring, Reporting and Verification)に従って計測・検証した実測一次データを用意できるかが、実務上の負担を左右します。
施行スケジュール・年表
企業への影響・実務対応
海外の原材料・部材サプライヤーから一次データを調達する企業は、工場レベルでのエネルギー消費量、燃料種別データ、および電力量メーターの計測記録をCBAMの算定ルール(CBAM規則附属書IV、実施規則(EU) 2025/2547)に従って体系的に整理しなければなりません。電力間接排出の算定においては、原則として現地国・地域の送電網(Grid)の平均排出係数、あるいは直接PPA等の特定要件を満たす再生可能エネルギー電力を採用する厳格なルールが存在します。
また、取得した実測データは、委任規則(EU) 2025/2551に基づいて認定された検証機関(認定検証人)の検証を受け、検証報告書(Verification Report)の発行を受ける必要があります。必要な数の証書を期限までに償却しない場合は罰則(CBAM規則第26条)の対象となり、償却義務などへの重大または反復的な違反は認定申告者資格の取消し(同第17条8項)につながるため、海外サプライヤーに対するMRV体制の構築支援とデータ信頼性の確保が必須となります。
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