米国 連邦Buy Clean Initiative廃止の経緯と州レベルでの継続動向
規制の概要
連邦Buy Clean Initiativeは、2021年12月の大統領令14057(連邦持続可能性に関する大統領令)に基づき、バイデン政権が創設した制度である。米国連邦政府は年間6,300億ドル超の調達力を持つ世界最大の購買主体であり、この制度は鉄鋼・コンクリート・アスファルト・板ガラス等、連邦調達および連邦資金によるプロジェクトにおいて低炭素・米国製の建設資材を優先調達する仕組みを構築するものであった。IRA(インフレ抑制法)は、この取り組みを後押しするため、低炭素資材調達向けに40億ドルの予算を一般調達局(GSA)・連邦道路管理局(FHWA)に配分していた。2023年には12州が参加する「連邦・州Buy Cleanパートナーシップ」も発足し、制度は拡大を続けていた。
トランプ大統領は就任初日(2025年1月20日)に大統領令14057を撤回し、連邦Buy Clean Task Forceは解散、EPD(環境製品宣言)関連の予算も打ち切られた。トランプ政権の大統領令は、バイデン政権の大統領令を全面的に撤回する一方で、「各省庁は費用対効果・米国の労働者と企業・納税者の資金の賢明な活用を優先すべき」という代替方針を追加しており、環境配慮そのものを禁止する内容ではない。
もっとも、連邦レベルの制度的枠組み(Task Force・専用予算・調達基準)は事実上消滅しており、現在残っているのは州レベルの取り組みである。カリフォルニア州が2017年に全米初のBuy Clean政策を制定して以降、オレゴン・コロラド・ワシントン・ニューヨーク・ニュージャージー・メリーランド・ミネソタ・マサチューセッツの各州が独自のBuy Clean制度を導入・維持している。例えばニューヨーク州の大統領令22は、州内建設プロジェクトにおけるコンクリート配合・鋼材・ガラス製品の調達量報告や、環境製品宣言(EPD)提出義務を引き続き課しており、州レベルでは制度が継続・拡大している。
施行スケジュール・年表
2021年12月8日:バイデン大統領が大統領令14057号に署名しFederal Buy Clean Initiativeを発足
2022年8月:IRA成立、GSA/FHWAの低炭素資材調達向けに40億ドルを配分
2023年3月:連邦・州Buy Cleanパートナーシップ(全12州加盟)がスタート
2025年1月20日:トランプ大統領が就任初日に大統領令14057号を撤回、連邦Task Force解散およびEPD予算打ち切り
現在:連邦レベルの優遇制度は消滅、カリフォルニア・ニューヨーク等9州で独自のBuy Clean・EPD義務化が継続
企業への影響・実務対応
連邦インフラ案件向けに低炭素建材(鉄鋼、コンクリート、ガラス等)のEPD取得を進めてきた建材メーカー・建設事業者は、連邦レベルでの調達優遇の枠組みを失った。しかし、ニューヨーク州やカリフォルニア州等独自のBuy Clean制度を維持する州政府案件においては依然としてEPD提出・排出強度基準遵守が求められるため、案件の主体の違い(連邦 vs 州)に応じた実務の切り分けが不可欠である。
関連の規制ニュース
現在、この規制に関連するニュース記事はありません。
