米国 OBBBAによるIRAクリーンエネルギー税額控除の終了・前倒しスケジュール一覧
規制の概要
2025年7月に成立した「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」は、IRA(インフレ抑制法)が創設・強化した多数のクリーンエネルギー税制優遇を、当初の失効予定(多くは2032年)を待たずに前倒しで終了させた。今後10年間で約4,960億ドルの財政削減効果があるとされている。
最大の削減効果(1,900億ドル)を生んだのはクリーン車両税額控除の終了である。個人向けの新車税額控除(第30D条)・中古車税額控除(第25E条)・商業車税額控除(第45W条)の3種は2025年9月30日に終了、EV充電設備税額控除(第30C条)は2026年6月30日設置分をもって終了する。
住宅向け優遇も大きく縮小した。住宅エネルギー効率改善税額控除(第25C条)・住宅用クリーンエネルギー税額控除(第25D条、太陽光発電・太陽熱温水・燃料電池・小型風力・地熱ヒートポンプ・蓄電池が対象)はいずれも2025年12月31日で終了(770億ドル削減)。新築省エネ住宅税額控除(第45L条)は2026年6月30日取得分まで、商業用建物省エネ控除(第179D条)は2026年6月30日着工分までで終了する。
事業者向けのクリーン電力投資・生産税額控除(第48E条・第45Y条)は段階的縮小の対象となり、1,660億ドルの削減効果。風力・太陽光発電施設は2026年7月4日までに着工し、2027年12月31日までに稼働開始する必要があり、これを満たせない場合は税額控除の対象から外れる。水力・原子力・地熱等の他の技術は2036年まで段階的な縮小スケジュールが設定されている。
税額控除の譲渡可能性(transferability)・直接支払い(direct pay)の仕組み自体は維持されており、税負担の小さい事業者や非課税団体も一定の恩恵を受けられる制度設計は残っている。ただし、外国懸念事業体(FEOC)規制の対象範囲が大幅に拡大されており、クリーン電力の生産・投資税額控除を含む主要な控除の多くがFEOC規制の対象に加わった点も実務上の大きな変化である。
施行スケジュール・年表
2022年8月16日:インフレ抑制法(IRA)成立、多数のクリーンエネルギー税額控除を2032年まで創設・拡充
2025年7月4日:One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)成立、税額控除の前倒し終了・縮小を規定
2025年9月30日:EV等クリーン車両税額控除(第30D条・第25E条・第45W条)が完全終了
2025年12月31日:住宅向け省エネ・クリーンエネルギー税額控除(第25C条・第25D条)が終了
2026年6月30日:EV充電設備(30C)、新築省エネ住宅(45L)、商業建物省エネ(179D)の控除適用期限
2026年7月4日:風力・太陽光発電施設(48E/45Y)の税額控除適用に向けた着工期限
企業への影響・実務対応
米国でクリーンエネルギー投資・設備導入・車両購入を計画していた事業者は、OBBBAによる前倒し失効スケジュールに合わせた投資計画の再計算が不可欠である。特に風力・太陽光発電事業者(2026年7月4日着工期限)やEV関連事業者、住宅省エネ設備メーカーは、制度変更に伴う需要変動およびFEOC拡大規制への実務対応が要求される。
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